━【パリ・ミュゼット】


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Bonjour Musique !”都市の伝統音楽”パリ・ミュゼット


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サン・ジェルマン・デ・プレ、モンパルナス界隈、カルチエ・ラタン、シャンゼリゼなどをぶらぶら、ソルボンヌ広場のカフェにやって来ました。この広場にある何軒かのカフェは、私のお気に入りの隠れ家。友達と仕事をしたり、お昼を食べたり、お喋りしたり、議論に花を咲かせたりしたものです。お茶を飲んだら、次は映画。ソルボンヌのすぐそばのシャンポリオン通りに小さな映画館があります。カルチエ・ラタンにはあらゆるジャンルの映画を上映する小さな映画館が、至る所にあるのです。パリではとても気軽に映画を見ることができます。カルチェ・ラタンの文化的で知的な雰囲気がなつかしい……。な~んちゃって!



今日は、石畳のパリの街並みを歩いていて、アコーディオンの懐かしいメロディが聞こえくるといった趣でございま~す。そもそもミュゼットって一体何?よくTVのグルメ番組や旅行番組で、フランスものが紹介される時、お決まりの様にアコーディオンのBGMが流れます。くねくねと動き回る旋律・・・大雑把に言うと、これがまさしくミュゼットです。でもこのミュゼット演奏するとなると超絶テクニックを要する、トンでもないシロモノなのです。この三拍子の音楽が流れてきたとたんにおフランスの大人も子供も踊り出してしまうそう。「フランス人のDNAには三拍子が刻まれている!」らしい?19世紀からオーベル二ュ人やイタリア人、ジプシー達など移民によって発展してきたミュゼット音楽は、ダンスやお酒の場所によく合うんですね。古きよきパリを彷佛させるミュゼット。酒場やカフェでダンスミュージックとして庶民に愛されてきた音楽です。パりに生きる人の喜怒哀楽をそのまま詰め込んだような素晴らしい音楽なんです。



「パリ・ミュゼット」というのは簡単に言うと、パリ下町のダンス音楽。1920年代に入って人気沸騰し、おフランスの国民的音楽へと昇格する。元々は「ミュゼット」というバグパイプの親戚の様な楽器で演奏されていたダンス音楽なのですが、そのうち音の幅の広いアコーディオンが取って変わり、今では「アコーディオンがメイン」のインストルメンタルをミュゼットと呼ぶようになりました。



フランスのオールドファッションな大衆音楽、メリーゴーランドやサーカスを思わせる懐かしい響きがたまりません!アコーディオンを中心にした少人数アンサンブル"ミュゼット"は、今世紀初めからパリの街角の風物詩として知られてきました。その素朴で陽気な雰囲気は世界中でファンを増やしています。



その当時、地方の労働者たちがカフェやバーに集まり、アコーディオンでダンスをするのが慣わしでした。その流れがパリに届いたのは130年ほど前の話。



「バル・ミュゼット」と呼ばれるダンスホールが大流行し、フランスの普通の人々はワルツやタンゴ、スイングのリズムに乗って、踊りまくったのでありました。
バルではスイングが人気でワルツ、ポルカ、タンゴ、ジャヴァと並んで踊られていた。そしてアコーディオンはパリのシックな居住区の人たちを虜にしてカフェの音楽、シャンソンになくてはならない存在となりました。



ミュゼット・バンドの構成は、メンバー5人から6人。中心の楽器はアコーディオン、これは半音階、全音階のどちらもあります。またはアコーディオンの親戚といえる、ボタン操作のバンドネオン。そこにギター、バンジョー、バイオリンが加わってメロディーラインを形づくります。ドラムやベースがリズムを受け持ちます。
リズムの主流は3拍子。ジャズ、ワルツ、スィング、ブルースと、多彩な音楽ジャンルを取り入れたミュゼット演奏。ときには哀愁を帯び、ときには心を癒してくれる、映画のワンシーンのような演奏が次々と繰り広げられます。



ジプシーのギタリストとして名を馳せたジャンゴ・ラインハルトらはギターで三連譜やトリルなどのアコーディオン独特のミュゼット奏法を出そうと工夫し「モンターニュ・サント・ジュヌヴィエーヴ」等のミュゼットワルツを作曲。その後彼はジャズへ傾倒しミュゼットとは遠ざかるが、ジャンゴ・ラインハルトはミュゼットに多大な影響をもたらしました。アコーディオンのみならず、ギターやヴァイオリンが大きくフィーチュアされミュゼット・バンドはその魅力を深めていったのです。



大人のためのワールド・ミュージック。すべての芸術の憧れの街、そして音楽をこよなく愛する街、パリ。アコーディオンの音色が情緒たっぷりに響く。「パリ・ミュゼット」こそは本物のカフェ・ミュージック!フランスの庶民的な社交場カフェで生まれたオシャレでエスプリ漂う音楽!



『我等の仲間』
フランスの名匠、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の代表作。
ペンキ屋のジャン、大工のシャルル、 屋根の修理屋のレイモン、スペインの政治犯のマリオは失業中。その4人がお金を出しあって買った宝くじが10万フランの大当たり....。ジャン・ギャバンが二人のアコーディオン奏者をバックにミュゼット・ワルツを歌っています。ミュゼットはパリの下町を舞台にした映画には欠かせない音楽です。ピアフの名唱で知られるルネ・クレール監督「巴里の屋根の下」の主題歌や同監督の「巴里祭」の主題歌もミュゼット・ワルツです。
余談ですが、なんとこの映画のDVDには日本で公開された「悲劇版」の他、「ハッピー版」の2バージョンが収録されてるんですねぇ。あなたはどちらを選びます?CAT-Oさんは勿論、おつむが軽いので「ハッピー版」ですよ!



パリ・ミュゼットはアコーディオン演奏。ミュゼットとは、もともとキャブレットと云う小さなバグパイプしたが、アコーディオンにおされその名前だけが残り、今ではアコーディオンをフューチャーしたストリート感覚の音楽をミュゼットと呼ぶようになりました。



パリ・ミュゼットはモダン・ジャズやサクソフォンも取り入れ新しいスタイルに再生されてます。パリの下町、路地裏の場末のカフェで奏でられてそうな音楽、どこか哀愁を漂わせながら、賑やかなダンス風景が浮かんできます。 



「パリ・ミュゼット Vol.3」

相次いで逝去したミュゼット界の巨匠ジョー・プリヴァ、ディディ・デュプラ、ディディエ・ルッサン、ジョゼフ・ロッシに捧げる追悼盤。パリの裏通りに住む人々が、愛してやまないミュゼットが、モダンな響きを奏でながら今ここに甦る。

【パリ・ミュゼット Vol.3 解説書の一部】
フランス中部のオーヴェルニュのミュゼット(バグパイプ)音楽に起源をもつパリの「ミュゼット」。今ではアコーディオンでパリの下町情緒をかもし出す音色として親しまれている。そのミュゼット界の相次いで逝去した巨星たちに捧げる追悼盤である。



1930年代にパリで流行ったアコーディオンによるダンス音楽、ミュゼット。いわば巷楽、ジャズやらタンゴやら人々の間にうつろいゆく時々の音を取り込み、絡みつく生き様を掬い取る。あまりに典型的なパリの音だがその響きには紋切型の連想を拒む強さがある。
戦前のパリで一世風靡したダンス音楽が、ネグレス・ヴェルトら新世代の登場に伴い再び脚光を浴びる中、その名手たちの新録がリリースされた。おおむね三拍子が支配的だが、アラブ/アフリカに通じる複合リズムも時折り混じる。これがパリ本来の顔かも。



「パリ・ミュゼット Vol.2」

【パリ・ミュゼット・シリーズのコンセプト】
本シリーズは当初、ミュゼットのさまざまなアスペクトを音で体系化するコンセプトだったらしいが、ミュゼットの真髄を知っているベテランの死去で録音の継続がむずかしくなった。そこで、すでに録り溜めてあった音源をまとめて1枚に収録したのがVOL.3というわけだが、そのためここにはトニー・ミュレナやゲリノ、ペギュリ兄弟といった歴史的アコーディオン奏者たちの作品と現代の奏者たちの ネオ・ミ
ュゼッドが混在している。しかしそれは、散漫な印象を与えるよりもミュゼットの多彩な性格を浮き彫りにして、かえって面白い結果を生んだんじゃないかと思う。このアコーディオン音楽は、純粋芸術をむやみにありがたがるフランスで奇蹟的に雑種性を生命とした音楽なのだ。

【下町のローカルな音楽から生まれたミュゼット】
どこかにも書いたが、ミュゼットは100年前のパリのストリート・ミュージックだった。シャンソンやクラシックとちがって、インテリが頭で創り出した音楽ではなかった。なんせミュゼットの黄金時代を支えたアコーディオン奏者たちは、のきなみゴロツキ上がりでしたもんね。リヴァプールやロンドンの不良少年がロックの全盛期を創り出したようなものだ。だからこそミュゼットは妙な先入観や理屈にとらわれず、イタリア人の音楽でもロマ民族のそれでも、気に入ったものをどんどん採り入れた。まあ、アコーディオンがイタリアから入ってきた当初はルーツ・ミュゼットの楽器キャブレット(小型のバグパイプ。アコーディオンに取って代わられるまで、ミュゼット演奏の主要楽器だった。別名をミュゼットといい、音楽ジャンル名のミュゼットはこれに由来する。)の支持派とのあいだで一悶着あったが、そんなのは過渡期のささいなハプニングにすぎない。ミュゼットは大筋において、オープン・マインドな音楽だった。種々雑多な異文化を取り込み、そうして雑草的な力を蓄えたからこそ、パリの下町のローカルな音楽から全仏的な国民音楽にのし上がり、1世紀にわたって生きながらえることができた。



「パリ・ミュゼット Vol.1」

【ミュゼットのメロディの特徴】
言葉遣いの技巧にばかりウツツを抜かして音楽のパワーを失い、そのために他国の聴衆に愛想を尽かされたシャンソンとは対照的である。
それにしても、このパリ版ヒップホップはなんとメロディ豊かであることか。その点は、音楽をリズム(もしくはビート)の1点に収斂させてしまったラップと全然ちがう。リズムこそワルツやジャヴァの3拍子にせいぜいバソ・ドブレの2拍子が加わる程度で多様性を欠くが、メロディはお聴きのとおりクネクネと変幻自在、あたかも蔓草の生長記録を早回しで見るかのようだ。ポルトガルのファドにせよイタリアのナポレターナにせよスペインのフラメンコにせよギリシャのレンベーティカにせよ、地中海周辺のヨーロッパ音楽は、隣接のアラブ地域から遠い昔に入ってきた旋法音楽が根っこにあるせいだと思うが、一様にメロディ志向が強くて和声感覚が薄い。そのメロディがまた実に複雑怪奇な曲線を描く。平たくいえば、音の流れが一本調子に陥ることを何より恐れるように、これでもかと節回しに凝りまくる。で、メロディに凝るのにオクターヴの8音だけ使っていたらタネ切れになってしまうから、どうしたって半音を使わざるをえない。半音というのは、ちょいとペダンティックな言い方をするなら曲の主調に含まれない音(非和声音)である。だからこれを使うと、そこでメロディは主調から逸脱する。つまり、転調する。半音を多用する地中海音楽は、転調また転調の連続である。むしろ、小刻みな転調の連続によって旋法音楽的性格のメロディを平均律音階の上で実現している、といった方が当たりかもしれない。



ekato

「パリ・ミュゼット」のプロデューサー、パトリック・タンダンとフランク・ベルジェロをして「都市の伝統音楽」だと言わしめたのは?です。
「都市」と「伝統音楽」??
ミュゼットはパリという都会でこそ成熟できた混合音楽だというのだ。
そんな疑問もこの3枚の「パリ・ミュゼット Vol.1・2・3」を聴くとすぐ解っちゃいますよ。そこに収録されていたのは古典的なミュゼットのみならず、斬新な実験作品の数々も収録されています。これがまた素晴らしい!!!このアドリブを多用した彼らの演奏はまさにジャズ指向そのものです。それはミュゼットがレトロでもノスタルジィでもないことを我々に雄弁に語りかけているかの如くです。
パリ・ミュゼットは昔の音楽ではなく、現在も色々な影響を受け、新しいレパートリーを増やし
、発展しているパリならではの音楽なんです。


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